診療科のご案内皮膚科

薬疹

薬疹とは

薬疹とは、薬剤や代謝産物によって生じた、皮膚・粘膜の発疹のことです。アレルギー性と非アレルギー性に分けられます。非アレルギー性は、抗腫瘍薬による脱毛、ステロイドによるざ瘡(ニキビ)などを含みます。
薬疹は、さまざまな発疹を呈します。
・播種状紅斑丘疹型
・じんま疹型
・湿疹型
・固定薬疹型
・多形滲出性紅斑型
・Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症(TEN)
・扁平苔癬型
・紫斑/血管炎型
・乾癬型
・光線過敏型・光毒型
・薬剤性過敏症症候群(DIHS)
・急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)
・手足症候群 
・その他

主な症状治療法

播種状紅斑丘疹型薬疹

播種状紅斑丘疹型薬疹

〇全薬疹中、最も多い臨床型(>80%)で、小紅斑、紅色丘疹が、左右対称性に全身に播種状に分布、融合します。通常は発疹は、体の中心(体幹)に生じ、四肢末梢に向かって拡大します。進行すると、全身の80%以上にびまん性に紅斑が拡大し、紅皮症型となることがあります。
〇抗菌薬、NSAIDs、抗てんかん薬、造影剤など、多岐にわたる薬剤で生じます。
〇原因薬の中止で、通常1週間以内に発疹は消退します。
〇薬剤中止後数日は発疹が拡大する可能性があります。
〇原因薬の中止により自然に軽快しますが、症状が強い場合、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)内服、ステロイド外用を行います。

重症薬疹

Stevens-Johnson症候群(重症薬疹)の粘膜病変

〇発熱(38.5℃以上)、粘膜症状(眼がただれる、充血がひどい、口内痛があり食べられない、唇がただれるなど)、水疱、肝障害やリンパ節腫脹がある場合、重症薬疹の可能性が考えられます。
〇重症薬疹とされる病型は、Stevens-Johnson症候群/中毒性表皮壊死症(TEN)、薬剤性過敏症症候群(DIHS)、急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)です。
〇原則として入院加療が必要です。
〇治療として、副腎皮質ステロイドの内服・点滴を行います。
〇肝障害や他臓器障害の出現に注意が必要です。まれに命に係わる重篤な状態となることがあります。

薬剤アレルギーの考え方

〇はじめて服用する薬の場合、アレルギーが成立するまでの感作期間が必要であるため、投与直後に薬剤アレルギーを生じる可能性は低いです。薬剤開始後1~3日で発疹が出現した場合、薬疹ではない可能性が高い。
〇開始後4,5日~2,3週間で発疹が出現した場合、薬疹の可能性が考えられます。
〇薬剤開始後数か月を過ぎて、通常の薬疹を発症する可能性は低いです。

<例外>
〇抗てんかん薬等による薬剤過敏性症候群は、開始後2か月以降に発症することがあります。
〇降圧薬などによる扁平苔癬型・乾癬型薬疹の場合、発症までに数か月から数年を要することもあります。
〇ヨード造影剤による薬疹の場合、2回目以降の場合、検査当日か翌日に発疹出現。初めての場合、検査後5日~2週間経過してから発症する場合があります。

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