腎臓癌(腎腫瘍)について

腎臓癌(腎腫瘍)について

腎臓癌(腎癌、腎細胞癌、腎腫瘍)について

 腎臓はソラマメのような形をした長径10cm程度の臓器で肋骨の下端の高さに左右にあり、血液を濾過して尿を作製したり,血圧や造血をコントロールするホルモンを産成しています。腎臓に発生する腫瘍は良性腫瘍(頻度が高いのは腎血管筋脂肪腫)と悪性腫瘍(癌)に分類し,悪性腫瘍は成人に発生する腎細胞癌と小児に発生するウィルムス腫瘍が代表的です。腎細胞癌の頻度としては日本腎癌研究会の報告では人口10万人あたり年間に男性8.2人,女性3.7人と男性に多い傾向にあります。

館林厚生病院の腎細胞癌の症例数は下記の様です。

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1990ー2000年 60 症例
2001年:12症例 2002年:8症例 2003年:14症例 2004年:9症例 2005年:9症例
2006年:16症例 2007年:11症例 2008年:15症例 2009年:16例 2010年:13症例
2011年:15症例 2012年:12症例 2013年:12症例 2014年:15症例 2015年:17症例
2016年:13症例 2017年:16症例

腎腫瘍の症状は,血尿,腎臓部痛(腰背部痛)等ですが,無症状のことも多いようです。他疾患精査のために行ったCTやエコー(超音波検査),人間ドック等の検診の超音波検査で発見される症例が多くなってきており半分以上はそのような症例です。

診断には,超音波検査(エコー),CTが必要であり,時に骨シンチ(全身の骨のレントゲン検査),および稀にMRI等の画像検査が必要となります。これらの検査により,腎腫瘍の性格の確定,腎局所の拡がり具合,リンパ節や他臓器への拡がり具合を診断し、病期診断を行います。
上記諸検査によって病期診断が行われます。

病期診断   TNM分類

T:原発腫瘍

T1: 最大径が7cm以下で腎に限局する腫瘍

T1a: 最大径が4cm以下
T1b: 最大径が4cmを越え7cm以下

T2: 最大径が7cmを越え腎に限局する腫瘍

T2a: 最大径が7cmをこえるが10cm以下
T2b: 最大径が10cmを越える

T3: 主静脈または腎周囲脂肪組織に進展するが,同側の副腎への進展がなくGerota筋膜(腎臓を包む膜でこの筋膜内に脂肪と腎臓と副腎が包まれている)をこえない腫瘍

T3a: 肉眼的に腎静脈や区域静脈に進展する腫瘍、または腎周囲および/または腎洞脂肪組織に浸潤するがGerota筋膜を越えない。
T3b: 肉眼的に横隔膜下の下大静脈内に進展する腫瘍。
T3c: 肉眼的に横隔膜上を越える下大静脈内に進展、または下大静脈壁に進展する腫瘍。
T4: Gerota筋膜を越えて浸潤する腫瘍。(同側副腎への連続的進展を含む)

N:所属リンパ節

N0: 転移なし
N1: 1個の所属リンパ節転移
N2: 2個以上の所属リンパ節転移

M:遠隔転移

M0: 転移なし
M1: 遠隔転移有り

病期分類

1期(Stage 1): 腎臓に限局する7cm以下の腫瘍(T1,N0,M0)
2期(Stage 2): 腎臓に限局するが7cm以上の腫瘍(T2,N0,M0)
3期(Stage 3): 腫瘍本体は腎臓に限局するが所属リンパ節転移を1個認める(T1-2,N1,M0)、あるいは腫瘍は腎静脈内に進展、または腎周囲組織に進展するがGerota筋膜を越えずリンパ節転移を認めないか所属リンパ節1個の転移で他臓器への転移は無い。(T3,N0-1,M0)
4期(Stage 4): 腫瘍がGerota筋膜を越えて浸潤する(T4,Nに関係なく,M0)か、
2個以上の所属リンパ節に転移がある(Tに関係なく,N2,M0)か、
他臓器への転移がある(Tに関係なく,Nに関係なく,M1)

 組織学的分類 腎の悪性腫瘍の大部分は腎細胞癌であり,その中でも淡明細胞型腎細胞癌が最も多く,多房嚢胞性腎細胞癌、乳頭状腎細胞癌、嫌色素腎細胞癌等が代表的です。腎の悪性腫瘍が疑われる場合,CTにてほとんどの腎臓癌の診断がついてしまうこと、および腎臓は血流が豊富なため穿刺時には出血の合併症の可能性が高いため生検(組織診断)は一般的には行いませんが、腫瘍が小さくて診断が難しいときや手術が難しいほど大きく進展している場合には確定診断及び腎臓癌の組織型の決定のため生検を行います。
 治療は、悪性腫瘍(癌)では手術が原則となります。良性腫瘍でも手術の適応となることがあります。手術時の麻酔は,全身麻酔ですが, 術後の疼痛コントロールのために医療用麻薬の持続的点滴を併用するので術後の痛みも少なく翌日には歩行できます。術式は、腎臓を周囲の脂肪組織(時にリンパ節や副腎も)とともに一塊に摘出する根治的腎摘術という全摘術と、腎腫瘍(癌)の部分だけを摘出する腎部分切除術の2つが標準的です。腎部分切除術は、腎腫瘍(癌)の大きさが小さく(7cm以下が目安)腎の中心から離れている場合等がよい適応です。手術は開腹術と腹腔鏡(内視鏡)を使った手術に大別できます。当院では、現在、腹腔鏡下根治的腎摘術は浸潤性の強い(病変部が大きい)症例以外はほぼ全ての症例に、腹腔鏡下腎部分切除術は4〜5cm以下の腎臓から突出している腎臓癌に施行しています。最近は腎機能の温存を考え積極的に腎部分切除を行っており、他施設では根治的腎摘術(全摘)になるかもしれないやや大きめの腎腫瘍や(7cm以下が目安)、腎腫瘍が外に飛び出していない(埋没型)場合も、開腹術にはなりますが腎部分切除を積極的に導入しています。腎部分切除時には腎血管阻血による腎機能障害を避けるべく、特殊な器具を使用して腎血管の阻血時間を短くして、また術後の合併症を少なくするため腎実質の止血縫合を行わない方法で手術を施行しています。また、当院泌尿器科では3D内視鏡を使用して腹腔鏡手術を行っており、3Dによる立体感のある拡大画像をみながら、より正確で低侵襲な手術が可能です。
手術の主な合併症としては,出血(当科では自己血にて対処)、手術時の身体各臓器への負担、感染症、他臓器の損傷等が代表的なものです。
 他に、インターフェロンの皮下注射やインターロイキン2の静脈注射による古くからの免疫療法、分子標的薬による化学療法、免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)による新しい免疫治療等の薬物療法があります。

公立館林厚生病院の腎細胞癌の手術症例数や治療法は下記の様です。

手術症例

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1990―200年 44例
2001年: 7例 2002年: 6例 2003年: 9例 2004年: 8例 2005年: 4例
2006年:10例 2007年: 6例 2008年:10例 2009年: 9例
2010年:10例(腎部分切除1例(開腹1)、根治的腎摘9例(腹腔鏡6、開腹3))
2011年:10例(腎部分切除4例(腹腔鏡3、開腹1)、根治的腎摘6例(腹腔鏡5、開腹1))
2012年: 9例(腎部分切除3例(全て腹腔鏡3)、根治的腎摘6例(腹腔鏡4、開腹2))
2013年:11例(腎部分切除4例(全て開腹術4)、根治的腎摘7例(腹腔鏡6、開腹1))
2014年:11例(腎部分切除6例(腹腔鏡3、開腹3)、根治的腎摘5例(腹腔鏡4、開腹1))
2015年:14例(腎部分切除9例(腹腔鏡5、開腹4)、根治的腎摘5例(腹腔鏡4、開腹1))
2016年:11例(腎部分切除9例(腹腔鏡6、開腹3)、根治的腎摘2例(腹腔鏡1、開腹1))
2017年:15例(腎部分切除8例(腹腔鏡4、開腹4)、根治的腎摘6例(腹腔鏡5、開腹1))

2001年から2017年まで患者さんの病期と治療

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1期 2期 3期 4期 不詳
開腹腎部分切除 26 1 27
腹腔鏡下腎部分切除術 27 27
開腹根治的腎摘術(全摘) 18 5 9 3 35
腹腔鏡下根治的腎摘術(全摘) 37 7 5 1 50
開腹根治的腎摘術(全摘)+インターフェロン 1 1 2 4 8
腹腔鏡下根治的腎摘術(全摘)+インターフェロン 1 4 5
開腹根治的腎摘術(全摘)+分子標的薬 3 3
腹腔鏡下根治的腎摘術(全摘)+分子標的薬 1 1
インターフェロンあるいは分子標的薬 1 19 20
加療不可あるいは経過観察 8 1 4 9 3 25
他院での加療 5 1 3 4 4 17
122 15 26 48 7 218

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最終更新日:2018.05.10

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