腎尿管結石について

腎尿管結石について

腎尿管結石について

発生頻度

2005年の全国集計では人口10万人あたりの年間罹患率(1年間に尿路結石になる人数)は男性192人、女性79.3人とここ40年で3倍に増加し特にここ10年の増加率が著しく、また、生涯罹患率(一生の内一度は尿路結石になる人数)は男性15.1%,女性6.8%であり,稀な疾患ではありません。また,排石しても2年後には2割程度の,5年後には4割程度の人で再発するともいわれており,再発のしやすい疾患です。また、結石になりやすい人は特に男性では肥満の割合が高く、高血圧、糖尿病、高指血症の頻度が高いことが判明しています。いわゆるメタボリックシンドロームの人に多いということです。

結石に罹患しやすい人

下記のような食生活を送っている人が結石になりやすいとの調査報告があります。
a) タンパク質,特に動物性蛋白質の摂取が多い.また,炭水化物の摂取が多い.
b) カルシウム摂取量は予想以上に少ない
c) 野菜摂取量が少ない.
d) 夕食中心の食生活(特に動物性タンパク質の夕食時の摂取)
e) 夕食から就寝までの時間が短い(特に30代)

また,次のような人が結石になりやすいとの報告もあります。
f) 肥満傾向.
g) 運動不足.
h) 緑黄色野菜,海草類の摂取不足.
i) 牛乳の摂取量は少ない.
k) 甘味飲料の摂取量が多い
上記を説明すると次のようになります.

a)タンパク質
今日の日本人の総タンパク質および動物性タンパク質摂取量は栄養所要量をはるかに上回っており,特に結石患者さんではその傾向が顕著です。つまり,結石患者さんの食生活は肉食中心の今日の日本人の食生活をより顕著に示しているといえます。動物性タンパク質摂取量の増加は,結石の生成を阻害する尿中クエン酸の排泄量を減少させます。戦後本邦において腎尿管結石が急増した重要な原因の一つといわれています。

a,K)炭水化物
動物性タンパク質以外に戦後急激に消費量が増加した食品に砂糖があります(約3倍)。日本人の穀物摂取量や炭水化物摂取量は戦後減少傾向にあるにもかかわらず,男性の結石患者さんの炭水化物摂取量が多いという調査結果は,砂糖摂取量と密接な関係があるのかもしれません。

b,i)カルシウム
日本人のカルシウム摂取量は戦後約2倍に増加し,また牛乳や乳製品の摂取量は15倍以上に増加していますが,その摂取量は1日のカルシウム所要量の600mgには達していません。つまり普通の食事をしている人に対しカルシウムの制限をする必要はなく,逆にカルシウム摂取の制限をすることは,将来,骨粗鬆症を引き起こすことにもなりかねません。
また,我が国における結石は,8割以上がカルシウムを主体とする結石であり,カルシウムは蓚酸という物質と非常に結合しやすい性質を持っています。そして結石の再発率調査でも高カルシウム尿の有無は再発率に影響はなく,むしろ高蓚酸尿の頻度が高いことがわかっています。つまり尿中の蓚酸を減らすことが大切なのです。そのためにはカルシウムを多めに摂取し,腸管内で蓚酸と結合させ(この結合物は体内に吸収されない),便として排泄させることが必要です。また,蓚酸は多くの食品に含まれており蓚酸そのものの摂取を制限することはきわめて難しいので蓚酸の含有量の多いものを摂取する時には,同時にカルシウムを摂ることを心がけることが必要です。(蓚酸の含有量の多い食品の代表的なものとしてはほうれん草,タケノコ,大根,紅茶,緑茶,チョコレート等があり,かつお節,しらすぼし,ミルク等と一緒に食べることが有用)。また,脂肪を多く摂取すると吸収されなかった脂肪が腸管内でカルシウムと結合するため,本来蓚酸と結合すべきカルシウムが減少し吸収される蓚酸の量が増えてしまいます。上記のように動物性タンパク質の摂取量はかなり増えておりそれに伴い動物性脂肪の摂取量も増加しているのです。

C,h)マグネシウム
マグネシウムは結石の生成を阻害するのですが,結石患者さんのマグネシウム摂取量は非常に少なく,その原因は,主に野菜の摂取不足にあるといわれています。野菜や海草類はマグネシウムを多く含んでおり,これらの食品の摂取が必要です。

d,e)夕食中心の食生活と夕食から就寝までの時間
結石の予防にとって尿の希釈は何よりまして重要ですが,尿中諸物質の濃度は,食事の影響を強く受け,食事2時間から4時間で最高となります。また,食事量が多ければ,食後の尿中諸物質の排泄量は増加します。すなわち,結石患者さんの1回の食事で摂取する量が多ければ,食後の尿中諸物質の排泄量は増加します。結石患者さんの1日の栄養摂取量のうち,夕食で摂取する割合は,約半分にも達し,特に動物性タンパク質は6割を越えるとの調査結果があります。結石患者さんにみられる夕食での摂取割合の増加は,今日の日本人男性全体にいえる傾向で,朝食の欠食が一因と考えられます。(男性は女性の2−4倍腎尿管結石の頻度が高い)
 また,結石患者さんは,夕食から就寝までの時間が短い人が多いようです。就寝中は,発汗等により水分を喪失し,しかも水分の供給がないため尿は濃縮され,さらには,就寝による不動があり,1日のうちで最も結石が発生しやすい尿環境の整った時間です。

 つまり,夕食を大量に摂取し,しかも夕食から十分な時間をあけずに就寝することは,尿中諸物質の濃度を高め,結石を作り出す大きな原因となります。

結石予防のための食事管理

  1. 栄養素摂取量の観点からは
    肥満防止
    好き嫌いを無くし,何でも食べる
    肉類,塩分,糖分は控えめに
    野菜,海草類は多めに
    カルシウムの摂取(1日600mg以上,目標800mg)
    脂肪摂取制限(1日60g以下)

    間食は控えめに
  2. 尿中排泄物の観点からは
    水分摂取は多めに(これが基本,尿を薄くすることが目的)
    1日1500ml以上,特に夕食後水,お茶等のカロリーの無いもの
    ちなみにビールは体を酸性にし尿管結石を発生させやすくしたり,血中および尿中の尿酸濃度を高め尿酸結石を発生させやすくしたり,飲酒後の利尿状態後の脱水(特に就寝中)のため,結石を発生させやすくすることが多いようです。
    朝食,昼食をしっかりと(夕食中心の食生活の改善)
    早めの夕食(夕食と就寝時間の間隔の延長)
    上記のことに留意することが,結石予防のためには重要と思われます。

腎尿管結石の治療

一般的に7mm以下の結石は,水分を多量に摂取して尿量を増やし自然排石を目指します。5mm以下の結石が自然排石する確率は68%、5mmより大きいと47%といわれており、95%の確率で自然排石する期間は2mm以下の結石で31日,2-4mmの結石で40日,4-6mmの結石で39日です。また下記のような治療手段を要する確率は,2mm以下の結石で4.8%,2-4mmの結石で17%,4-6mmの結石で50%という報告もあります。

外科的な結石治療としては以下の方法が代表的です。下記2)および3)の方法は内視鏡で直接結石を見ながら砕石するので確実な砕石効果が見込めます。また下記2)の治療法(経皮的腎尿管結石砕石術)は、日本国内でも施行可能な施設は限られており、当泌尿器科には複雑で治療困難な結石患者さん(例えばかなり大きい結石)が数多く紹介されてきます。

  1. 体外衝撃波結石破砕法(ESWL:体外より衝撃波を結石に当て結石を砂状に砕く)
        2016年当院では96件
    体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)は最新の破砕効果の高い機器に更新し(2016.2.)日帰りで治療を行っています。
  2. 経皮的腎・尿管結石採石術(腎臓に内視鏡を挿入して結石を採取します。施行可能な施設は全国的にも限られており、当院には複雑な結石の患者さんが多く紹介されてきます。)
      2016年当院では12件
  3. 経尿道的尿管結石採石術(尿道から内視鏡を尿管に挿入して結石を採取)
      2016年当院では17件
  4. が中心となりますが、これらの治療法で摘出できない場合は開腹術を行うこともあります。

 当院では、2016.2.に更新した最新の体外衝撃波結石破砕装置(ESWL)やホルミウムヤグレーザーを使用した経尿道的尿管結石採石術(TUL)によって、また日本国内でも施行可能な施設の限られる経皮的腎尿管切石術(PNL)によって複雑な結石に対しても高い砕石消失率を保っています。

 経皮的腎・尿管結石採石術(PNL)とは、背中から腎臓内へ達する通り道を作成し(太いボールペン程度の大きさ)、その中へ内視鏡を挿入し、腎結石や尿管結石を直接観察しながら砕石する方法です。超音波またはレーザーで砕石する方法です。砕いた結石は内視鏡で見ながら摘出します。日本国内でも施行可能な施設は限られています。脊髄麻酔という下半身麻酔をかけて施行します(麻酔科が施行)。当院での入院予定期間は7日間です。

 経尿道的尿管結石採石術(TUL)とは、内視鏡を尿道から尿管へ挿入し、腎結石や尿管結石を直接観察しながら砕石する方法です。当院では導入施設は少ないレーザーや軟性鏡を用いており、それによって強力にそして安全に砕石可能です。脊髄麻酔という下半身麻酔をかけて施行します(麻酔科が施行)。当院での入院予定期間は3日間です。

 ESWLとは、体外より衝撃波を発射し、腎結石、あるいは、尿管結石を砂状に砕いて排石を期待する結石採石法です。当院のESWLでは、患者さんは、装置のベッドの上に横になってもらい、コンピューターを使って衝撃波の焦点をX線で合わせます。衝撃波発生時にはやや大きな音と体に軽い衝撃を感じます。結石の大きさやかたさによっても違いますが1000-4000 回ほどの衝撃波を要します。(一度にあまりに多くの衝撃波を照射することは危険をともなうので、たとえ砕けなくても、ある程度衝撃波を照射した時点で終了です)。一般的に破砕を開始してから60分から90分の治療時間を要します。当院のESWLの機種は電磁誘導方式のものを採用しており砕石力は強力であり、また、衝撃波の出力は低出力から高出力まで変えることができます。結石がどこに存在しても仰臥位で施行できるので(他機種では結石位置によってはうつ伏せになる必要がある)治療が楽にできます。大きな尿管結石(20mm以上)以外は日帰りでの治療です。

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最終更新日:2017.05.22

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